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経年優化(京都-西芳寺 )

油彩・キャンバス

100.0 × 65.2cm | 25 1/2 × 39 1/4in

日本の京都市西部に位置する仏教臨済宗(禅宗)寺院【西芳寺】がモチーフとなった作品。

西芳寺の境内は120余種の苔で覆われている事から、通称『苔寺』という名で親しまれています。

1200年以上の歴史を持つこの寺院を私が訪れたのは、2022年10月下旬の事でした。かつて京都において4番目に参拝者数が多いお寺であった西芳寺は、拝観者数増加に伴い寺院周辺で観光公害が生じていたそうです。

寺院本来の宗教的な雰囲気を大切に保ち、後の世に継承していきたいという先代住職の想いから、1977年7月、拝観者数に制限を設け完全事前予約制になり、それまで寺院を訪れた参拝者の入り口であった門は閉ざされ、観光ルートであったこの参道も立ち入り禁止区域となり45年以上の歳月が経ちました。

今から45年以上前といえば、当然の事ながら現代のようにネット環境などが整いっているわけもなく、日本各地、世界各国から京都へ来て西芳寺を訪れた事前予約をしていない観光客・参拝者に対して入館お断りする事もあったそうです。

そのような理由から、時には「本来お寺とは万人に開かれたものではないのか!?」というよう言葉で叱られる事もあり、収入面においても大幅な減少で寺院運営も困難を極めたようです。

 

それでも今日に至るまで、毎年事前申請をしてここを訪れる参拝者が途絶えることはありません。

 

『人が歩けば苔は生えず。でも人が立ち入らなくなれば苔が生まれ群生する。』

 

扉が閉ざされ人が立ち入らなくなり長い年月が経過したこの参道には、今では生命力あふれる美しい苔が群生しています。

この扉が閉ざされて間も無い頃、私はこの世に生を受けました。

静寂に包まれたこの参道に群生する苔の多くは、私と同じ時代に生まれ、同じ歳月を生きてきたはずです。

この空間に人が立ち入らなくなって以降、時間の経過と共に自然界が本来の姿に戻り行くその姿、植物が持つ生命力や尊さに心を動かされ着手した作品です。

 

拝観者に人数制限が設けられ、拝観者の入り口であった扉も閉ざされ、参道ルートであったこの道が立ち入り禁止になった当初は賛否両論あったそうです。

 

しかしあれから長い月日が経ち、今となってはここは静寂に包まれた西芳寺の象徴ともいえるような場所になっています。

 

キャンバスに描いたこの景色は、西芳寺の先代住職の想い、そして西芳寺の決意表明と決断を移している神聖な場所でもあるように思えます。

 

今思うことは、やはり僕の画業は自然からの恩恵があってこそ成り立っているという事。

 

感謝を込めて・・・。

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