Remember the Old Voyages
色鉛筆・板貼りした紙
116.7×72.7cm / 46× 15 1/2in
九十九里浜に引き上げられていた木造漁船がモチーフとなった色鉛筆による作品。
かつてはこのような木造の漁船が海原で活躍していましたが、木製のように腐らない特徴を持ち、しかもより軽くて丈夫な FRP(強化プラスチック)の船が木造船に代わり製造されるようになりました。
砂浜に引き上げられ横たわるこの船が見つめる先には、木材からFRP 船質に代わった次世 代の漁船が存在し、その光景を遠く眺めながら、もう二度と航海に出る事ないであろう大 海原を眺めつつ朽ち果てていくその姿に、流れ行く時間、そして人生の軌跡を反映させた作品。
本作は、私が20代の頃に描き未完成のまま長らく置いていた絵でして、2016年パリ発表の為に加筆して仕上げました。
この作品は心象風景でありながら、本音を言うと当時の自分を反映させた自画像という想いで描きました。描き込んだこの木造漁船は、当時(20 代の頃)の自分の姿でもあります・・・精神的に病んでいたのかな?
2016年の夏、スペイン・マドリード滞在中に国際電話にて同サロン初入選の知らせが届き、帰国して慌ただしく欧州パリへ向け発送したフランス画壇デビュー作です。
2016年10月のサロン・ドートンヌで発表した際に作品購入の打診を頂きましたが、あまりにも込めた想いが強すぎる作品でしたのでお断りして日本へ持ち帰り、今は大切な恩人の元へ渡り某所に常設展示して頂いています。
フランス発表から3年後の2019年、本作はアメリカ合衆国ARC財団が主宰する写実絵画世界公募展【14th Intarnational ARC Salon Competition】のLandscape(風景画部門)ファイナリスト選出作品となりました。